Tell me, DD!
最終更新日:2026.06.30
ようこそ、ミツバチの世界へ。
はちみつが生まれる、小さな奇跡の物語 ー HACCI養蜂家DDが、ミツバチの家をのぞいてみた。
私たちが口にするはちみつは、ミツバチたちの暮らしの中から生まれます。巣箱の中には、ミツバチたちがつくりあげた小さな世界があります。女王蜂、働き蜂、雄蜂がそれぞれの役割を担いながら暮らし、温度や湿度までも自分たちで整えています。そんな繊細な世界を見守るHACCI養蜂家DD。いつも大切にしているのは、“ミツバチたちの気持ち”。ミツバチに寄り添いながら育まれたはちみつには、自然の恵みと小さな生命の物語が詰まっています。
巣箱って、何が入ってるの?
巣箱を開けると、まず目に入るのが六角形の部屋が美しく並んだ「巣板(すいた)又は巣脾(すひ)」です。
実はこの巣板の中には、ミツバチたちの暮らしに必要なものがすべて詰まっています。
巣板は大きく3つのエリアに分かれていて、それぞれ異なる役割を担っています。
- 産卵エリア — 女王蜂が卵を産む場所
- 貯蜜エリア — 花の蜜を貯め、はちみつへと育てる場所
- 育児エリア — 幼虫たちを育てる場所
同じ六角形の部屋が並んでいるように見えて、その使い方はさまざま。
大きな巣箱には数万匹ものミツバチが暮らし、それぞれが役割を果たしながらひとつの社会をつくり上げています。
まるで小さな都市のような世界が、巣箱の中には広がっているのです。
ミツバチが六角形を選んだ理由
巣板をよく見ると、無数の六角形が隙間なく並んでいます。
実はこの六角形、ただ美しいだけではありません。同じ広さをつくるなら、最も少ない材料で、効率よく空間を使える理想的な形だといわれています。
ミツバチたちは蜜蝋を使って、この六角形の部屋をひとつひとつ作り上げます。その壁の厚さは、わずか約0.073mm。それほど薄いにもかかわらず、たくさんのはちみつをしっかりと支える丈夫さを持っています。
自然の中で生まれたとは思えないほど精巧なこの構造。人間がその合理性を解き明かすずっと前から、ミツバチたちは最適な答えを実践していたのです。まるで小さな建築家のようですね。
巣箱の中のチームワーク
巣箱の中では、一匹ではなく、たくさんのミツバチたちが力を合わせながら暮らしています。
女王蜂
一つの群れにいる女王蜂は1匹だけ。
役割は卵を産み、次の世代へ命をつなぐことです。最盛期には1日に2,000個ほどの卵を産むこともあり、その寿命は3〜5年。働き蜂よりもはるかに長く生きる、群れの中心的な存在です。
働き蜂
私たちが普段目にするミツバチのほとんどが働き蜂。実はすべてメスです。
花の蜜や花粉を集めるだけでなく、巣づくり、幼虫の世話、温度管理、見張り役まで、巣箱の運営に欠かせない仕事を担っています。
さらに働き蜂は成長に合わせて担当する仕事を変えていきます。
- 生後1〜10日頃:巣の掃除や幼虫のお世話
- 生後11〜18日頃:蜜蝋を使った巣づくり
- 生後19〜21日頃:巣を守る門番役
- 生後22日頃〜:外へ飛び立ち、花蜜や花粉を集める採集役
ひとつの役割だけではなく、一生の中でさまざまな仕事を経験しながら群れを支えています。
雄蜂
雄蜂はオスのミツバチです。
役割は、新しい女王蜂と交配し、命を未来へつなぐこと。針を持たず、花蜜を集めることもしませんが、群れの存続に欠かせない大切な存在です。
冬が近づくと、限られた食料を守るために巣を離れることになります。それもまた、群れ全体が生き延びるための知恵のひとつです。
それぞれが自分の役割を果たしながら支え合う姿は、まさに自然がつくりあげたチームワーク。その小さな社会が、今日も巣箱の中で営まれています。
ミツバチたちは、どうやってはちみつをつくるの?
実は、はちみつは花の蜜を集めただけでは完成しません。
ミツバチたちは集めてきた花の蜜を、巣の中の六角形の小さな部屋に蓄え、翅(はね)を羽ばたかせながら余分な水分を少しずつ飛ばしていきます。こうして時間をかけて熟成された蜜が、私たちの知る「はちみつ」になります。
そのために欠かせないのが、巣箱の中の温度と湿度の管理です。
巣箱の中では、未来の働き蜂となる幼虫たちも育っています。幼虫が健やかに成長するためには、およそ34〜35℃という安定した環境が必要です。
暑い日には翅を羽ばたかせて風を送り、水を運んで巣箱を冷やします。反対に寒い日には仲間同士で身を寄せ合い、体を震わせて熱を生み出しながら温度を保っています。
また、蜜の水分を飛ばす作業も働き蜂たちの大切な仕事。幼虫を育てる環境を守りながら、同時にはちみつも育てているのです。
ミツバチたちを守る、巣箱の防衛隊
ミツバチたちが安心して暮らすためには、外敵から巣を守ることも欠かせません。
巣箱のまわりには、スズメバチやクモ、アリなど、さまざまな生き物がやってきます。
そのため巣の入り口には門番役の働き蜂がいて、侵入者を見つけると仲間たちへ危険を知らせます。
しかし、HACCI BEE FARMで暮らす西洋ミツバチには、大きな弱点があります。
西洋ミツバチはヨーロッパで進化してきたため、日本のオオスズメバチのような強力な天敵と出会うことなく暮らしてきました。そのため、オオスズメバチに対する有効な防衛手段を持っていません。
スズメバチが巣を襲うと、働き蜂たちは針で応戦しますが、相手の力は圧倒的。ときには群れが大きな被害を受けてしまうこともあります。
一方、日本ミツバチはオオスズメバチと長い年月をともに生きてきました。そのため、「熱殺蜂球(ねっさつほうきゅう)」と呼ばれる独自の防衛方法を持っています。数百匹のミツバチが一斉にスズメバチを取り囲み、熱によって撃退するという驚くべき知恵です。
残念ながら、西洋ミツバチにはこの能力がありません。
だからこそ、養蜂家の存在が欠かせません。
養蜂家DDは、巣箱の周辺にスズメバチの巣がないか、侵入の痕跡がないかを日々確認しています。特にスズメバチが活発になる夏から秋にかけては、より頻繁に見回りを行います。
ミツバチたちが自分たちだけでは対処できないことを補い、安心して暮らせる環境を守ること。それもまた、養蜂家の大切な仕事です。
ミツバチを守ることは、はちみつを守ること。そして豊かな自然を未来へつなぐことでもあるのです。
HACCI養蜂家DDに、もっと聞いてみました
ミツバチの世界をのぞいてみると、まだまだ気になることがたくさん。
そこで、HACCI養蜂家のDDに直接聞いてみました。ミツバチたちのこと、養蜂のこと、そしてDDだからこそ知っている小さな発見まで。ここからはQ&A形式でお届けします。
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Q1 初めて巣箱を開けたとき、どう感じた?
正直、圧倒されました。「こんなに整然としてるの?」って。巣板を取り出したとき、びっしり並んだ六角形と無数のミツバチが動いている光景を見て、別の世界に来た感覚がありました。
はじめは怖さもあったけど(ミツバチが怖いというよりかは命の集合体に圧巻された)、それより好奇心が上回った。今でも巣箱を開けるたびに毎回違う景色があって、飽きないです。
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Q2 巣箱を開ける前に、必ずやることはある?
ミツバチの様子を観察すること。巣の入り口でどんな動きをしているか、羽音はどうか。これを1〜2分見るだけで、その日の機嫌がだいたいわかります。
機嫌がいい日は出入りがスムーズで羽音が穏やか。機嫌が悪い日はなんか慌ただしい雰囲気がある。そういう日は作業をやめることもあります。
相手が生き物だから、こっちの都合を押しつけても意味がない。まず蜂を見る。それがすべての始まりです。
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Q3 巣箱の温度って、実際に感じるもの?
感じます。開けた瞬間にふわっと温かい空気が出てくる。冬が近づいても巣箱の中は温かくて、その熱が全部ミツバチの体から来てると思うと、すごく感動します。
巣箱の温度は、群れの健康状態のバロメーターでもあります。
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Q4 西洋ミツバチはスズメバチに弱いと知って、養蜂家として何か変わった?
責任感が増しました。日本ミツバチは熱殺蜂球で自分たちを守れるけど、うちの子たち(西洋ミツバチ)はそれができない。だから僕らが守らないといけない。
スズメバチのシーズンは特に気を使います。巣箱の周りをこまめに確認して、スズメバチが来ていないか見回る。ミツバチ任せにできない部分を、養蜂家が担う。それが西洋ミツバチと向き合う責任だと思っています。
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Q5 防護服を着ないで作業することがあるって聞いたけど、怖くない?
怖さよりも、そっちの方がうまくいく感覚があります。防護服を着ると動きが制限され、細かい作業がしづらくなるし、蜂も普段と違う存在感に反応する気がして。
素手で巣板を持つと、蜂の温度とか振動とかが直接伝わってくる。今日は落ち着いてる、なんかざわざわしてる、って皮膚で感じる情報があります。
もちろんリスクはあるし、誰にでも勧めるわけじゃないけど。僕にとっては防護服なしの方が、蜂と対話できてる感じがします。
まとめ
巣箱の中には、私たちの想像を超える小さな世界が広がっています。ミツバチたちは力を合わせながら命を育み、はちみつをつくり、群れを守っています。その営みを見守り支える養蜂家DDとともに、HACCIはこれからもミツバチたちの恵みを大切に届けていきます。
- 巣箱の中には、産卵・育児・貯蜜のための空間が整えられた、ミツバチたちの小さな社会が広がっています。
- 六角形の巣のカタチは、少ない材料で丈夫な構造をつくることができる、自然が生み出した合理的なデザインです。
- 女王蜂、働き蜂、雄蜂がそれぞれの役割を担いながら、ひとつの群れを支えています。
- はちみつは、ミツバチたちが温度や湿度を管理しながら花の蜜を熟成させることで生まれます。
- ミツバチたちが安心して暮らせるよう、働き蜂と養蜂家DDが力を合わせて巣箱を守っています。
この記事は、HACCI BEE FARMの養蜂家 DD水谷 監修のもと制作しています。
- DD Mizutani
- 1993年生まれ。100年以上続く養蜂家・水谷家の一員として生まれる。
幼少期からミツバチとともに育ち、現在はHACCI BEE FARMにて、ミツバチが健やかに暮らせる環境づくりを軸に養蜂を行っている。
HACCI BEE FARMでは、ミツバチが一年を通して過ごしやすい環境づくりに取り組み、自然と共生する養蜂を実践している。
自然と共生する養蜂を通じて、はちみつの新たな価値や可能性を探求している。
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